新年度が始まり仕事が忙しく何かリフレッシュでもしたいと思っていた今日この頃、せっかくだから普段しない事でもしようかなと思い、前々から興味のあった落語を聞きに初めて寄席に行ってみようと、都営新宿線・新宿三丁目駅近くにある『新宿末広亭』の週末のみ開催される深夜寄席に行ってみました。
公演時間は21:30~23:00頃なので電車も安心の時間帯、そしてなんとチケット代が500円と言う破格。まさかワンコインで落語が聞けるとはびっくりですね(日中の公演は3000円で時間ももっと長い)。演者は二ツ目(真打の前)などの若手の噺家が中心との事なのでこれなら初めての寄席でも敷居が高くなく、気兼ねなく観に行けるのでまさに今回にピッタリ。
事前にネットで調べた所、一時間前位から列が出来始めるとの事なので、情報を基に20:40に到着すると既に30人程の列が出来ている。話によると列の先頭になる方は大体20:00過ぎには来ているとの事。行列の整理や最後尾のプラカード持ち等は当日の演者が行っていました。二ツ目になると見習い時代も終わり、真打になるまでの間は自分で営業をしたり落語会を開催したりと色々地盤を築き上げなくてはいけない様です。
20:50になると袋をぶら下げた人が出てきて(これも演者の方)先頭からチケットを売って歩く。どうやらこの行列の状態で入場券を買って、入場時に券を見せて入って行くのでスムーズに入場が出来そうですね。そして少しすると別の演者が宣伝のフライヤーなどを同じように配って歩く。
この頃になると行列も長くなり、通りすがりの人たちは何事かと言った空気になりザワつき始め写メを撮る人もチラホラと出てくる。なんせここは新宿三丁目の繁華街の中にあるのでここに寄席がある事を知らない人たちからしたら何でこんな所に行列が?なんて思うのでしょう。通りすがりのイギリス人らしき二人組の一方がもう片方に『ジャパニーズ クラッシック コメディー』と説明していたのを聞いて、歌舞伎のみならず落語も日本の伝統芸能として外国人にも浸透しつつあるのかなぁなんて感慨深い気持ちになりました。
そして21:10頃に開場。これは決まった時間にオンタイムと言った感じよりも状況によって多少の前後がありそうな感じ。
会場は木造の江戸風情を感じる味わいのある造りで、照明なども提灯を使ったりとタイムスリップしたかの様な感覚です。会場の中央には横1列9人シートが13列程あり、人気なのかそこから席が埋まっていく模様。その左右に小上がりになった横向きの桟敷席があり、そちらの方が風情を感じたのでいざ桟敷席へ向かう事に。辺りに靴箱が見当たらないので係りの人に聞いてみると、桟敷席の座卓の蓋を開けるとそこが靴箱になっていました。中々面白いですね。桟敷席は16人が2列の配置で座布団が置いてあり、外側の列が少し高くなっているので傾斜が有り少々座り難さを感じました。座り心地を求めるなら中央のシートがお勧めですが、映画館の様なシートのズラシや段差が無いので、前に座っている人が背の高い場合は高座がよく見えないかもしれません。あとは公演中に立ち上がってのトイレなどは行きづらそうですね。
21:30になり太鼓と三味線の生演奏と共に開演。後ろを見ると立ち見のお客さんが15人程おり満員御礼。客層は30代から40代の人が一番多く、男女比が6:4で意外と女性率が高く、時間帯のせいか年配の方は思ったより少ない印象でした。
その日の演目(後程知る事が出来る)は ①狸札 ②火焔太鼓 ③長屋の花見 ④お見立て
演目に関しての事前告知は無く、高座にもそれを記すものは特に有りませんでした。一応マイクは有りましたが、ほぼ地声に近い感じで前のめりになるとマイクを通しているのがわかる感じなので、ライブ感がありまさに目の前で落語を聞いているのだなぁと実感。
4演目の間に休憩は特に無しで一番最初の演目が一番短く、後になるに連れてどんどん長い内容の演目になると言った流れ。4人各々が枕から入り場を暖めてから本題に入る形で、枕の時は馴染みらしき観客から掛け声などがかけられ、噺家がそれに乗っかりひと笑いなんてシーンもありました。庶民との距離感が近い演芸事の和んだ空気感と妙な居心地の良さも魅力の一つかも知れません。
スッと羽織を脱いだらそこから本題に入るのが4人の演者に共通した動作で、そこからは合いの手も無くみんな噺を聞き入りながらも笑いながら楽しんでいる様子でした。
勉強中の若手とは言えど二ツ目だけはあり大いに笑わせてもらい満足に楽しめました。落語は一人で全ての登場人物を演じるわけですが、声・口調・そして表情、この使い分けは流石に御見事、これぞ芸と言った感じ。生で初めてみるとそこだけでも魅了されます。
やはり一番盛り上がった噺家さんは枕の時点ですでに大ウケ。グッと観客の心を掴んでからの本題だったのでそれはとても盛り上がりました。
23:05に公演は終わりみんなそそくさと出口へ。多少の混雑があり5分程桟敷席で待ってから出口へ向かう。出口では演者全員が観客を見送り、その中の一人が手持ちのホワイトボードにて演目を見せてくれていました(ここで初めてその日の演目を知りました)。
たったの500円でこんなに楽しめるなんて幾らなんでもコスパが高過ぎるだろうと思っていましたが、5月からは1000円に値上がりとの事。それでも納得、1000円でも充分コスパが高いです。物の試しと言わず楽しむつもりでも是非お勧めします。一度と言わず僕もハマッてしまいそうです!!
外へ出ると辺りはまだ人通りも多く夜を楽しんでいる人達がまだまだ沢山いました。23時なんてまだまだ宵の口、終電までもまだ余裕がある時間帯。僕は以前、神奈川から都心に通勤していたのですが、寄り道すると遅くなってしまうので直帰ばかりでした。ですが先日都心のマンションに引越しをしたので、今では時間にも余裕があり色々と寄り道を楽しんでいます。生活環境や通勤が変わると自然とライフスタイルも変わっていくものですね。
ライフスタイルを変えたいと思ったら引っ越しをするのも一つの方法かも知れませんね。僕も不動産情報を見ている時には新しい生活への期待感で胸が膨らんだものです。それに単に違う物件に住むというだけでも大きな気分転換にもなると思います。